ヒュパティア 時代と宗教に翻弄されたエジプトの美しきリケジョ

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学部に男の子ばかり、でもやっぱり自分は理系が得意…
でも女子で理系科目どっぷり浸った人っているのかな?
実は歴史上にリケジョは少なからずいます。

ヒュパティア

アレクサンドリア図書館の館長を父に ヒュパティア


どんな人生だったんでしょうか?

370年 古代天文学者、数学者、哲学者テオンの娘として生まれる

そして父はアレクサンドリア図書館最期の館長もしていました。

生まれは今のエジプトですね

ちなみにこのアレクサンドリアは地中海貿易と文化中心地。
アレクサンドリア図書館はキリスト教徒に破壊された古代最大の図書館

おお!なんと勉強する環境がほぼそろった家庭!

ヒュパティアは父テオンより教育を受け、父テオンの著述や講義を手伝い
やがてアレクサンドリア随一の哲学生

やっぱり賢い親から生まれると子どもも賢くなるんですかね!

ヒュパティアが生きていた時代はどんな時代だったのか…?

392年 22歳ローマ帝国内でテオドシウス帝によりキリスト教以外の宗教の信仰が禁止に
実は100年位前からローマ帝国内でちょっと分裂気味だったので
これ以上国の中でバラバラになるのは避けたかったんですよね。キリスト教を基盤にローマ帝国の立て直ししたい
ちなみにエジプトはプトレマイオス朝はB.C.30年に滅びローマの属国に395年 25歳ローマ帝国 東西分裂

美貌の新プラトン主義者とモテ期

400年頃 30歳 ヒュパティア新プラトン主義哲学校の校長になる

プラトンやアリストテレスの講義もしてたとか。

市を統治するローマ帝国の長官もヒュパティアのもとへ来ていたとか。

顕著な知性と美貌で各地に名が知れわたることになる。

でもそんな賢くて美しいヒュパティアの関心は知的なものだけ。
ヒュパティアの容姿に憧れて近づく男性ももちろんたくさんいたんですが、
ヒュパティアはそんな男たちには全然見向きもせず。

ヒュパティアはギリシア哲学を教えつつ
天文観測器、天面天球図、液体比重測定用空気圧など発明したとか。

更に
ディオファントス『算術』
ペルガのアポロニウス『円錐曲線』
プトレマイオス著『アルマゲスト』という数学書に著述を

かなりの才女!
少しこの頭の良さをお裾分けしてほしいんだが…!

キリスト教と迫害

ではこのころの時代や状況はどうなんでしょうか?

412年ごろ 42歳
アレクサンドリアの大司教 テオフィロスは
皇帝の許可を得て
エジプトにある非キリスト教の神殿、記念碑、文化施設(アレクサンドリア図書館)破壊

地位を受けた甥の司教キュリロスはさらに急進的
司教キュリロスとその修道士たちがユダヤ人を街から強制的に追放
暴力はますます激しくなる

というかなり宗教色が強く、激しい世の中に…。
ヒュパティアには何の影響も無ければいいな…。

しかし、そんな物騒な時代にヒュパティアは巻き込まれてしまいます。

415年 45歳
学校へ行く時にヒュパティアは馬車から引きずり出されて教会まで引き回され
貝殻で体の肉を削ぎ落とされる拷問を受け虐殺される

「異教徒を追放した功績」として教皇レオ13世はこのことを絶賛

司教キュリロスを「教会の博士」と聖人化

つまりキリスト教徒にとって異教徒は国を統一する上で目の上のたん瘤状態だったんですね。

多くの学者は隠棲または国外へ亡命
新プラトン主義思想のヒュパティアはキリスト教会組織から疑われる賢い女性の典型的な人でした。
ヒュパテアの死はつまりギリシャ哲学の衰退を意味します。
ギリシャ学問の研究は事実上ここで終えることになってしまうのです。

関連書籍☆彡

ヒュパテアの生き方から学ぶ

美しくて賢い女性だったヒュパティア。
生まれた時代が不運だったのでしょうか。生まれた場所が不運だったのでしょうか。資料を読んでるときも別にこの人は何か悪いことをしたわけではありません。ただ純粋に数学や思想に励む女性だったんだと感じます。

しかしながら生まれた環境はヒュパティアにとって恵まれたものではなかったようです。今でこそ何を信仰しても勉強しても咎められません。
しかし時代や場所によってはそれが許されなかったり、ヒュパティアのように殺害されてしまう歴史があったのは確かです。その点で今生きる私たちは自由で恵まれてますよね。

色んな悩みが私たちが生きている中であると思うけど、理不尽なことって本当にたくさんあるし、不満もあると思います。そして自分ってついてないな、不運なことばっかだなって思うこともあると思うこともあります。

でも歴史をふりかえると自分がついてないなんて思ってること自体が幸せだと感じることもあります。
まだ自分のことを客観的に、一歩引いた立場から見れるだけでましかもしれません。

今の女性の活躍をヒュパティアが見たらどう思うでしょうか?
私がヒュパティアなら、何を信じても学んでもいい世の中に少なくとも
うらやましさを持ちますけどね!

ではでは
ちゃおちゃお🐾

参考文献:歴史を変えた「美女」と「悪女」大全/榎本秋/新人物往来社
タテから見る世界史/斎藤整/Gakken
ヨコから見る世界史/斎藤整/Gakken