赤毛のアンの家庭は理想だった?普通の家庭が夢だったモンゴメリ

スポンサーリンク

読んでほしい人

▷家庭が上手くいってない
▷夫が鬱になってる
▷子どもの素行が良くない

上記の悩みは現代でもたくさんありますね。現代の私たちと同様に悩んでいる女性が過去にいたんです。

ルーシー・モード・モンゴメリ

1908年 処女作『赤毛のアン』が大ヒット
1909年『アンの青春』
『赤毛のアン』シリーズを生涯に20冊の小説と短編を書き、40か国語に翻訳されるという大作家。

でもこんな感情も持ち合わせていました。

1910年の手紙
「アンには恐ろしく愛想が尽きたので、率直に言って書かなければよかったと思っています」
1920年の手紙
なぜ読者はアンに飽きないのでしょう。私はとっくに飽きたのに

ではどんな人生だったんでしょうか?

映画にアニメ、舞台化された人気作家モンゴメリとは?

1874年 誕生
『赤毛のアン』の舞台であるカナダのプリンス・エドワード島で生まれる

1876年 2歳 母が結核で死去
傷心した父はカナダ本土に単身で戻り
モンゴメリは母方の祖父母に育てられます。

祖父母は厳格で
流行の服を買ってくれず、遊びに行くのは禁止。
『赤毛のアン』で孤児の少女を主人公にしたのは、両親の普通に与えられる愛をもらえなかったモンゴメリ自身の鏡なのかもしれません。

深い教養と上流階級である祖父母の書斎でモンゴメリは読書に親しみ、
1883年 9歳 既に創作活動
10代になり新聞、詩、エッセイが掲載されるようになると真剣に作家を目指すようになる。

1893年 9歳
モンゴメリは島内の教員養成の短大に進学
1894年 20歳
島の学校の教師に
作品の中で、クラスメートのハツラツとした描写は教え子たちからのヒントを得たんですね。

家で祖父母の世話をして、学校で教師として多忙な毎日
モンゴメリは作家への夢をあきらめず、ちょっとでも時間が空くと捜索活動を続けました、

そんなモンゴメリに遠い親戚の名家でイケメンが求婚。

ロマンチストなモンゴメリですが、祖父母と苦労の多い生活を考えると、求婚者に全く魅力を感じませんが、家柄と教養が自分に釣り合い、恥ずかしくない相手という理由で婚約。
やっぱり、結婚は妥当な人で妥協するのがベストなんですかね?

1897年 23歳
婚約中にも拘らず、モンゴメリは初めて別の男性と運命的な恋に落ちることに。
相手のハーマンは、婚約者と正反対。
教養無し、貧しく、ハンサムでもないけど、生命力に溢れてました。

その人と結婚すれば寒村の貧しい農夫となり、厳しい肉体労働でギリギリの生活をして
作家になる夢を捨てるという意味でもありました。

感情的かそれとも現実的か、結婚の判断どうしよう…!!

死ぬほど愛していたハーマンと別れ
ハーマンへの愛の証しとして婚約者にも別れを告げ、一人で生きることを決意、
後にハーマンへの未練で苦しむことに。
自分で決断したけど、なかなか感情ってスパッと切り替えられないですよね。

豊かな登場人物、作品が世に出る

そんなある日
「ある夫婦が孤児院から男の子を引き取ろうとしたら、
間違って女の子が送られてきた」という村人が噂するのを耳にはさむ。

噂をヒントに『赤毛のアン』を書き始める。
これまでどの作品より、モンゴメリが夢中になりました。

完成した『赤毛のアン』は5社出版社に送るが全て没

期待していただけに落胆はひどく、モンゴメリは古い帽子の箱にその小説を放り込んで、そのまま存在を忘れる。
まさかの忘れるw

2年後偶然その原稿を発見そして再読。

『赤毛のアン』をこのまま埋もらせない!という思いが強く出て、改めて原稿に手を入れて再び出版社へ。

1907年 33歳 『赤毛のアン』出版
大がかりな宣伝もしてないのに読んだ人の口コミで、5か月で6版、9か月で11版の大ヒットに。

1910年 36歳
長く看病した祖母が死去。モンゴメリは寂しさを感じるようになる。
古くからの友人である牧師ユーアンと結婚。
衝動的な結婚で理由は「尊敬できる人、それだけ」
たまに出るこのモンゴメリの行動の潔さと冷静さはどこから出るんでしょうか?

孤独で生きることに耐えられず、結婚に踏み切るも、
結婚式前夜、モンゴメリは「夫となる人を愛せない」とはっきり気づく。
泣き明かした後に結婚生活がスタート。

二人の息子を出産。牧師夫人としての義務を誠実に果たそうとするも、
貧しい夫の収入で牧師一家として体面を保ち、二人の息子に立派な教育を与えるには
モンゴメリの小説による収入が不可欠。
そして出版社の要求に合わせアンシリーズを書き続けることに。

作家として成熟期を迎え、モンゴメリはもっと大人向きの小説を書きたいと思うが
ファンが求めるのはアンシリーズ
しかも牧師夫人という立場からヒロインや登場人物は安全で道徳的な人間にしか描くことはできません。
自分が描きたい作品も人気作家になると、完全に創作活動はビジネス。創作の自由が奪われるんですね。

妻の方が有名でお金持ちになり、家庭のバランスが崩れる

アンシリーズで得た名声と富は、結論モンゴメリの夢だった幸福な家庭を壊すことに。
夫とは合わないし、寂しさ結婚したのに結婚した後も寂しくなる。
寂しさから甘やかして子供を育て、お金のかかる名門大学に入れた息子二人。
しかしお金や女性問題を多々起こしてはモンゴメリが後始末。

50代になり、妻であるモンゴメリの名声に嫉妬し続けていた夫は心が病み、床につくようになる。
夫の病気を他人に悟られないように隠しながら終わりの見えない看病生活スタート。

そのストレスと苦悩の生活を救ったのもアンシリーズでした。
看病の傍ら再びアンシリーズを執筆、モンゴメリが夢見ても得ることができなかった幸福な家庭を描く。

アンシリーズは子ども時代の夢と憧れを込めていたけど、その後のアンシリーズは
愛する人と遂に結ばれることがなかったモンゴメリの切ない憧れが込められてました。

モンゴメリの人生から学ぶ

モンゴメリの人生で大きな悩みというのは家庭だったんですね。小さな時から両親がいなくて、ずっと温かい家庭を持つのがモンゴメリの夢でした。普通の家庭、それが夢。のちに家庭を持ったけど、思うようにいかなかった現実の家庭。そんな不仲の理想とはかけ離れた家庭を持ったから、作ることができた世紀の作品なんですね。

家庭状況が苦しくて、看病して鬱になりそうでも自分の感情や体験を日々書き溜めて発信していけば、それがきっかけで新たな人生の扉が開くかもしれません。新たな希望が持てるかもしれない。ストレスで体を壊す前に、感情をどこかに発信したらどうでしょうか?それが新たな作品になるかもしれません。

ではでは
ちゃおちちゃお

参考文献:世紀のヒロインだって悩んでる。桑原恵美子 ゴマブックス株式会社